書店巡回

休刊とか掘り下げることとか広い視点とか

最後には雑誌をやりたいと思う僕にとって雑誌のあり方はすごい気になるのですよ。ダカーポとか実は一度も買ったことがないので、マガハも結構苦しいのかくらいにしか思わないんだけれど、TV見てると情報誌扱いなんだよね。情報誌ってのがどこからどこまでを指して言っているのかがよく分からないけれど。みんななんか思うところあるかなぁと探したけど、ネットではさほど気にはされてないか。古い記事だけど、

多くの新聞は、「ダカーポ」を情報誌のジャンルの一つとしていたが、内容も執筆者の顔ぶれを見ても、ジャーナリズム系雑誌とするべきだろう。私の友人のノンフィクション・ライターたちの多くも、この雑誌に関わっていた。

 一つに雑誌が消えるというのは、彼らが書く場を失うだけではなく、国民の知る権利が狭まるということだ。そこのところをどこまで考えて、マガジンハウスの経営陣は今回の“決断”をしたのだろうか。このところ、次々にジャーナリズム系の雑誌が姿を消しているが、それに代わる雑誌が創刊されることはほとんどない。企業の社会的責任CSRが、その企業を評価する上での指標として、大きな地位を占めてきている。出版社のCSRには、出版する雑誌や単行本を通して、社会をよくしていくことが含まれるはずだ。

http://www.ohmynews.co.jp/news/20071029/16709

まぁ元木昌彦は色々すごかった(今は普通)人なので、危機感の持ち方は分からんでもないが。「企業の社会的責任CSR」って書き方はどうなんだ。「企業の社会的責任企業の社会的責任」って連呼してるぞ。「CSR(企業の社会的責任)」とか、もうちょっとなんかあるだろう。

よくいわれることだが、読者は、自分の関心のないことには、おカネを払わない。よほどの大スクープがあれば別だが、そうしたものはそうそうあるものではない。雑誌の場合、読みたい記事が1本ではなかなか買ってくれないが、3本あれば、サイフの紐をゆるめてくれるといわれる。スクープ以外の記事について、再検討が必要かもしれない。

そこに集約されるてるでしょ。知る権利って「受け手が知ろうとすること」と「知ろうとすることがきちんと公開される」ことの二本立てだと思うけど、後者が難しいのは公開されるまでの制約*1以上に、マスで公開される情報が雑多であることだと思うの。もちろん、「政治と金の問題」とか一言で大雑把には括れるものもあるけど、全部が全部そうじゃない。雑多になれば受け手が知りたいとも思わんものも混じってくるわけで、そうなると知ろうとする気も失せちゃう*2。ここを上手く解消するには、ジャンル化細分化って流れを利用するしかないんじゃないか。
あらゆるネタを一まとめにしてドーンって方法だと限界が出てきてるんだから、細分化するしかない。でもそうすると偏りも生まれちゃうんだよなぁ。きっと。ファッション的な修飾を施すってのも手だけど、そういうのって往々にして持続性とか有効性が怪しいしなぁ*3。ちなみにここで考えてる知ろうとするものとか情報とかっていうのは社会的正義とか公共の問題とか言われる方面のもので、趣味とかの方面じゃないよ。


とか語った後ゲームですよ。ゲーム。皆大好きゲーム。MGS信者の僕は買うしかない。戦争反対を叫びつつ家では敵兵皆殺しランボープレイを堪能している方も多いかと思われますが、一向に構わないと思います*4。中身はMGS一色かとおもったら結構色々なタイトルの話や開発者の話も載ってる。こうしてMGS信者にそれ以外の情報を与えるわけですよ。なかなかやるな。でも僕は松野信者でもあるので話は面白かったけどドラクエは買わないぜ。全体的に面白いけど、内容自体はどこかで見たことあるような感じのものも多いし。目新しさがない。ネットリテラシー低い人向け。ホント出版業界は地獄だぜ! フゥハハハーハァー! 趣味の世界においてまで広い視点を持つほどに僕はできた人間じゃないのです。



昼の部

書店巡回本日二度目。入稿終わって安心しているのか進行中の仕事より思い溜めている企画のネタを集めに走ってしまう。類似本を観察するも、予想外に面白くない。同じようなネタで自分の脳内だとかなりいい企画なはずなのに、目の前の書籍はさっぱり。一緒にいたライターさんも「なんかイマイチ」との反応。ここまでピンとこないのは、編集者の質云々よりネタに原因があるな。廃案。
結局関係のない本を何冊か買ってしまった。いかん。すでにある本を読んでないのに、補給が行われている。積まれる可能性も高いなこりゃ。

チェルカッシィ包囲突破戦〈上〉―東部戦線、極寒の悪夢

チェルカッシィ包囲突破戦〈上〉―東部戦線、極寒の悪夢

コルスン包囲戦の本。コルスンポケットとかチェルカッスイ包囲網とか。大日本絵画系。系というかそのものだけど。第三次ハリコフ攻防戦の話はカレルの『焦土作戦*5とかで色々出てるけど、凄惨なコルスンの包囲戦を詳細に解説したものはあまりなかったと思う。2万人が脱出に成功したのか、5万人が犠牲になったのか、どっちなのか僕は未だに知らない。LSSAHが奮戦した場所でもあるし、シュテメマン軍団を救出するというシチュエーションはいかにも東部戦線的だし、名前は有名なんだけどね。これ以上語ると40過ぎのおじさんが集まってしまうので止めだ。次弾装填準備。
楽観は危険であり、苦境にあるときは相手もまた苦しい状態であり、場合によっては犠牲を省みず、しかし適宜補給は必要である、と中学生の頃に学んだ東部戦線。残酷。雪が降るとそこら辺の穴の中にイワンがいるのではないかとドキドキしてしまう。中学生のときに従軍したわけじゃないぞ。まだ開いてもいないのだけれど楽しみ。隣に『どくそせん』なる本が置いてあった。萌え系軍事本みたいなんだけど、絵が拙い。小林源文お墨付きと書いてあったが、何をどうして墨付けたんだろうか。


ジャパナメリカ 日本発ポップカルチャー革命

ジャパナメリカ 日本発ポップカルチャー革命

こっちは何となく買ったんだけれど、ざっと読むと想像してたのとはやや違った。テーマがアメリカ人の興味をそそる日本のポップカルチャーがどうたらとかで、最先端を行くのはアニメとマンガってオチに収束していく。その流れが淡々としていて、冷静すぎる。解釈とかも目新しくない。ネットでよく見るような話。訳本みたいだけど、これアメリカで売れたのかな。ポップカルチャーがどうとか言いつつ文化論とか掘り下げるわけでもなく、なんだかアメリカ人の好きそうなアニメやマンガのタイトルが出てきて、日本人もビックリの濃さというわけでもなく。ビジネスの話とかはそこそこ面白いんだけど、別にアメリカのアニメやマンガの市場構造に興味はないんだよなぁ。中途半端に広く浅い。
あとがきで「世間一般の知的な読者が面白いと思う本を目指した」ってあるから、僕みたいな知的レベルの低い人間はそのターゲットから外れてるだけかもしれない。内容があっさりしているとも言えなくはないから、まぁアニオタでもなんでもない人が読むこともできるかもしれないが、そもそも興味を持たないと思う。読ませられれば読むレベル。積極的には手に取らない。なんかもっとこう、いかにも思い込みで語ったりする方が賛否両論起きて盛り上がると思う。

*1:国家権力とかフンフ〜ンがっか〜いとかまぁ色々ありますよ

*2:勿論あらゆる情報を収集するぜって人もいるだろうけど、皆がみんなそうじゃない

*3:「テメェらハンバーガー食いながら"Meat is Murder"聴いてんじゃねぇよ」ってモリッシーの叫びに通ずる

*4:宮崎駿的先生はうんこやゲロから目を逸らしてはいけないと仰っています

*5:ある種の教科書。読んでないとぬるいミリオタにすらなれない、らしい