ブルガーコフ

NHKの「知るを楽しむ この人この世界」はブルガーコフだった。知ってます? ヨーグルト? いいえ。ケフィアです。違います。

ロシア文学の黄金以下略

ロシア文学といえば19世紀で、プーシキンとかゴーゴリとかツルゲーネフとかドストエフスキーとか、まぁ名前聞いたことがあるような人は大体19世紀の革命以前だ。ここらへんは説明すると面倒くさいので簡単にまとめると、貴族とか幽霊とか貧乏人がクネクネしたりする話だね。ドストエフスキーなんか肖像見てるだけで鬱になるので、国語の資料集とかで見かけたら是非落書きしてあげて欲しい。

コミケ3日目状態

ほんで20世紀になると変態と懐古厨とヒッキーたちが祭り状態。変態はナボコフで、もうナボコフロリコンと言われるくらいにロリータ。ホワイトなロリータ。今後は日本ユニセフというユニセフと関係ない人たちの努力によって、単純所持で逮捕。多分本当になります。もし現代なら夏コミの3日目でイラスト入りで売ってる。でも正直エロくない。
「リアルじゃないから二足歩行兵器なんか書かない」とか革命的リアル厨が騒ぎ出すと、変態とか懐古とかヒッキーはdisられて、「ソ連でしか生きていけないというか、そろそろ粛清されるリスクがあるので世界中どこかに行く」と言い出して世界に逃亡。「静かなるドン」とか任侠コサック物を書いて一山あてたショーロホフなんかは、上手いこと革命やら平和やら体制マンセーしてスターリン賞とノーベル賞両方せしめた。よく「開かれた処女」とかAVのタイトルにされる。上手いことやったな。
でも他は海外に出たけど、変態とかヒッキーだから社会に適応できず、失意のうちに病死したり、貧困のうちに死んだりした。かなり惜しいことした。ザチャーミンとかポケモンみたいな人もこの時フルボッコゴーリキーは後でスターリンに詫びを入れて帰ってきたけど、やっぱりフルボッコされて死んだ。同志スターリンは難しいことはよく分からないから、とりあえず粛清しちゃうんだ。

ケフィアですか?

ブルガーコフは変態、懐古、ヒッキーで言うと、ヒッキー。軍隊に入れられたりもしたけれど、「働いたら負けかな」とか思ってシコシコ書き始める。雑誌に投稿してみたら大ヒットして、その後はパロディとかSFとか戯曲とか、微妙に体制マンセー物とか、売れるためなら判子絵で旬のアニメのエロ同人描きまくる絵描きみたいに色々書いた。旬だから結構ヒットするんだけど、調子に乗りすぎて「科学的社会主義(笑)」とかコメントしてしまい、ビシバシ発禁食らうようになる。発禁食らったりして怖くなったので、「俺も海外で暮らしたいなー」とか言ってみたら、スターリンから電話。「マジで? 本気で? 海外行きたいの? いいけど別に」とか言われて、余計に怖くなって結局ヒッキー。
ここで面白いのが、スターリン自身は実はブルガーコフのファンだったってこと。でも同志スターリンは不器用だから、大好きな作家に素直に大好きって言えない。つい粛清とか発禁とかちらつかせてしまう。「大好きです! 粛清させてください!」みたいな。
ブルガーコフ自身も、芸術というのが権力によって保護されるものだってことを理解していた。だから適度におもねったりもしたんだけど、「事実は事実の通り書かないと」とか思ってしまう不器用だったので、上手くマンセーできない。不器用すぎる。
1939年、スターリンは「俺の戯曲書いてください!」とリクエスト。「始まったな!」と思ったブルガーコフも快諾。でもよせばいいのに「事実は事実の通り書かないと」とか思って、何もかもありのままに書いた。どの程度ありのままかというと、身長とかほくろの数とか、個人情報から何から何まで。超リアル。革命的リアル。これバカウケだろ、とか思って見せたらスターリン激怒。激怒したけどファンだから、粛清とかしない。発禁。上演禁止。ブルガーコフオワタ。翌年の3月に失意のうちに死んだ。

まとめ

つまり海外に行こうが、国内にいようが、結局いつかこうなるのですよ、という話でした。
ブルガーコフの著作は日本語版もあるけど、絶版が多い。何篇かは最近でも単行本で出ているので、是非読んでみよう。皮肉と社会批判と、ニヒルでナードなその視点は面白い。ゴーゴリよりもゆるい。ロシア文学ってこういうのがあるんだなぁと思わせられる作家。