クローネンバーグすげぇ その1

優れた作家は最初が飛び抜けてる。もちろん、最初だけ飛び抜けて消えるのもいるけど、消えた奴なんか知っちゃこっちゃないのである。今現在存在していて、知られている作家の中でってことだ。
定番ならスピルバーグで、テレビ用だった『激突!』が劇場用に制作し直された。『ジョーズ』なんか言わずもがな。
ぶっ飛び度合いならデヴィッド・リンチ。自分のイカレ具合を上手いことアートにしてしまう。サム・ライミも『死霊のはらわた』の面白さを思えば、今の出世も理解できる。ともかくこういった連中は新人時代から、風格*1みたいなのがある。


で、クローネンバーグである。この人の映画見ればまぁ筋書きはともかく言えることは一つで、出鱈目なんだけど最後の最後まで勢いで突っ走ってしまい、観客をそれに乗せちゃう。多分天才ではなくて基地外の方である。
そんなクローネンバーグの劇場用デビュー作は『SF人喰い生物の島』。ごめん、これ邦題だ。『SHIVERS(シーバース)』*2ね。ともかく日本で最初に放送されたときは、のどかなタイトルだったので、多分一家揃ってお茶の間で見た筈だが、裸のお姉ちゃんのおっぱいが見れるわ、内臓は吹き出すわ、くる○るぱーの博士は出てくるわで、子供は喜び親は卒倒し爺ちゃんは関知しなかったこと想像に難くない。
冒頭でいきなり裸のお姉ちゃんがおっさんに絞殺されて、おっさんはパンツ一丁になるとメスでお姉ちゃん開腹して、硫酸だか何だか注いで、自分ののどかっ切って自殺する。意味が分からない。これを見て傑作だとか言う奴がいたら、お脳の病院にでも行った方がいい。これ以上粗筋を書くのがばかばかしいのでなるべく簡単に済ませると、パンツ一丁は博士で寄生虫の研究を自分の教え子を使ってやってたらしいのだが、なぜかこの寄生虫がいるとお姉ちゃんたちが痴女になてしまいあれこれしてしまうので、責任とって殺して死んだのだが、あれこれした男共から別のお姉ちゃんへと伝染していき、ゾンビのように動き回りつつあれこれしまくるお姉ちゃんで溢れかえり、わぁ大変FIN。
意味が分からない。奇作とか怪作とかそういう話ではない。こんなの映画にしようと思うのはクローネンバーグしかいない。つまり、そういう監督なんだよこの人。

*1:いろんな意味で

*2:今調べたらDVDは出てるみたい