あなたはチリ・クーデターを知っていますか?

9.11と言うともはやJKというか、それが一つの単語かのように想起するのは倒壊するWTCですが、僕の中ではチリとアジェンデです。
チリ・クーデターって知っていますか? 南米はクーデターとか日常茶飯事のイメージ? 多分名前くらいは聞いた事がある、ピノチェトという見苦しいおっさんがいるのですが、こいつがチリに独裁体制を敷くきっかけとなったクーデターです。キューバ社会主義化以降、アメリカは中南米左傾化に異常なまでの反発と恐怖心を見せます*1が、このクーデターを起こさせたのもアメリカです。
アメリカがクーデターを仕込んだきっかけとなったのが、サルバドール・アジェンデの大統領就任です。アジェンデはいわゆるマルクス主義者で、誰が見ても分かる左派であり、革命家でした。ただ、彼が革命家でもゲバラにはならなかったのは「武力闘争とは異なる方法で革命は遂行できる」と信じていたから。どっちが正しい訳でもなく、僕には答えを出す術はありませんが、個人的な心情としてアジェンデがとても好きなのです。

この顔。ホーチミンもなかなかの好々爺顔ですし、周恩来なんかはいかにもインテリ風ですが、その中間点を取ったこの顔。安心と信頼のアジェンデです。
労働者からの指示は絶大だったアジェンデですが、軍部の大半がクーデター側に付いたため、最後はわずかな警備兵と大統領府に立て篭り、自ら銃を取って戦ったと言われています。アジェンデは決して日和見主義の政治屋ではなく、革命家だったわけです。

チリクーデターについて簡単にまとめた動画がありましたが、この中に、包囲された大統領府から、アジェンデが最後に行った演説も含まれています(2:00あたりから)。

クーデターに参加した軍人たちの裏切りを指摘し、指示してくれた労働者たちへの謝意を述べ、そして次の言葉で締めくくられます。

我が祖国の労働者たちよ!
 私は、チリと、その運命を信じています。私に続く者たちが、裏切りの支配するこの灰色で苦い時代を乗り越えていくでしょう。
遅かれ早かれ、よりよい社会を築くために、人々が自由に歩くポプラ並木が再び開かれるでしょう。
チリ万歳! 人民万歳! 労働者万歳!
 これが、私の最後の言葉です。私が犠牲になることは無駄ではないと確信しています。少なくとも、裏切り・臆病・背信を断罪する道徳的な裁定となると、私は確信しています。

思想的な立ち位置に関係なく、社会的正義とか良い社会とか、そんなものを追求する立場に自分がいると思う人は、是非一度アジェンデに触れてみてください。

*1:アメリカの中南米への対応の根本は「恐怖」だと僕は考えています