ソヴィエト的クリスマス

クリスマス。赤い服を身に纏った労農人民が、富の再分配になぞらえて子供達にプレゼントを分け与える革命的行事。そんなことはどうでもいい。

ロシアのクリスマス

ロシアのクリスマスは12月25日ではなく1月7日。これはまぁ常識であろう。ロシア正教会は現在でもユリウス暦を使い続けているので、旧暦の12月25日に対応する現行暦の1月7日がロシア正教のクリスマス。もちろん、教会でミサをあげたり家族で過ごす時期であって、ホテルが繁盛したりワインコーナーがにぎわったりするイベントではない。クリスマスのイルミネーションなんかは12月からあるので、年が変わってもまだまだクリスマス気分ジンゴーベージンゴーベー! というのはちょっと羨ましい。
西側で言う所のサンタクロースに対応するのがマロース爺さんで、まぁ袋担いでプレゼント配るのはサンタと同じ。ただし、プレゼントを開けるのは新年の1月1日。
現在は西側化が進んでいて、若い人たちの中には、24日に祝ってプレゼント交換する習慣も広がっているらしい。

ソ連のクリスマス

そんな行事はない。まぁ、後期になると容認はされなくても黙認はされていたようなのだが、大々的にミサをあげたり、祝ったりするのは禁止されていた。クリスマスってのは当然のことながら宗教的祭事なので、そんなものをするわけがない。
とはいえ12月は同志スターリンの誕生日があったり、戦勝イベントがあったりで、何かとソヴィエト的イベントには事欠かない月でもあるので、賑やかさは西側同様にあった。

んで、市民はどうしていたかというと、こっそり祝ったりはしていた。実はプレゼントを1月1日に開けるのはその名残で、堂々と1月7日に開けてしまうと「クリスマスしてます!」とアピールすることになってしまうので、「これは新年のお祝い! クリスマスじゃないもんね!」という建前。
あと、黙認はされてたので、マロース爺さんとかを飾りの意匠に使うことは許されていて*1、当時のクリスマスカードとかもちゃんとある。カードはこの辺りが詳しい。
Old Soviet Christmas card collection
なかなかクリスマスクリスマスしてるでしょ。ソユーズなんかをモチーフにした変わり種もあるけど。ただ渡すタイミングは1月なので、感覚的には年賀状に近い。

*1:マロース爺さん自体が正教が源流ではなくて、民間信仰とか昔話から出たものってこともあるけど